上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
昨日に続いて、またもDVDで映画鑑賞。今日は宇多丸が批判していた『キサラギ』です。
ぼくはその話を聞いた上で見たので、かなりバイアスはかかっていたわけだけど、それがなくてもこの映画、まったくダメっす。
なによりもアイドルへの愛がない。
アイドルを題材としながら、登場人物たちの「アイドルへの愛」がまったく感じられないのだ。それはこの映画のスタッフが「アイドルへの愛」を持っていないからだろう。
なにかの死の謎を解く、というお膳立てとしてアイドルという存在を利用しているだけで、別にこれはアイドルでなくても成立する話ではないか。アイドルを扱うのなら、アイドルという存在について自分なりの理屈なり世界観が必要なはずなのに、それがどこからも伝わってこない。登場する小道具も安っぽいし、なによりキャラクターがダメだ。みんな口で「好きだった」と言うだけ。
一番許せないのは、宇多丸も指摘していた通り、この不幸な事故死が、結果的にいい話=感動として集約されていくところ。よく考えて欲しい。洗剤と油を間違えたことから火事になり、ファンレターを守るために物置で焼死したアイドルの、どこに「いい話」になる要素があり、「感動」できるのだ? 悲劇以外の何物でもないではないか。こんなので「感動」する人がいるのかとネットでいろいろ見てみたら、けっこういたので驚いた。こんなに安っぽい「感動」がカネになるなら、邦画はまだまだ10年は稼げるね(笑)。
さらに室内プラネタリウムにアイドルやキャラクターのイメージを投影するに至っては、もう苦笑するしかない。なんだこれ。
アイドルファンをバカにしてるのか、と。
さらに、エンディングではそれまで微妙に隠してきたアイドルの素顔がばっちりと登場するが、出すなら最初から出せばいいし、この子も正直、微妙なツラで、どう反応していいのかわからない。それに、今どき(このアイドルのシーンの時代設定は2006年)、こんな衣装で80年代風の歌を歌っているアイドルなんかいねぇよ。スタッフの「アイドルってこんな感じだろ」っていう舐めた態度がビンビンに伝わってくる。
エンディングで5人のキャラクター全員がヲタ芸っぽい(これもヌルすぎていて、「ヲタ芸ってこんな感じだろ」というスタッフの嘲り顔が浮かんでくる)ことをするのも、設定上おかしいし……。
ついでに言うと、ミステリとして見た場合もヌルすぎ。ご都合主義にもほどがあるし、突発的な証言が多いから観客に推理をさせる要素がほとんどない。すべて後出しでジャンケンされている感じがする。
まだ言いたいことはたくさんあるけど、もうこのくらいにしておきます。時間がもったいないんで。
久しぶりにムカムカした映画でした。