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■台場から来た少女 3■
ヲタが登校し、教室に入ると同時に、アキチャが飛んできた。
「知ってるか? チョウコクもやられたらしい」
「チョウコクが……? だれに……って、まさか……」
「そう。亜利絵根のやつだ」
「朝日か?」
「いや、まだそこまではわからねぇ。けど、あちこちで噂になってる」アキチャはそこで顔をしかめた。「――うちらがやられたってことも含めてな」
ヲタは返す言葉がなかった。
そのときバンジーが「うぃーす」と言いながら2年C組の教室に入ってきた。
アキチャがバンジーに今の話を繰り返して伝える。ヲタは黙ってそれを見ていた。
アリ女がチョウコクまでターゲットにしてきたことと、ラッパッパの情報を知りたがっていたことを合わせて考えると、その目的がおぼろげに想像できた。
あいつらはマジ女の武闘派集団を壊滅させる気なのではないか。
チョウコクは前田とのタイマンに敗れてから鍛錬を重ね、かなり強くなっているらしい。もうすぐ卒業ということもあり、例の百人斬り達成を急いでいるのだろう。そのチョウコクがやられたのなら、もちろんチームホルモンでは太刀打ちできないし、もしかしたらラッパッパさえも……。
「まさか……」ヲタはつぶやく。
「なんだって?」バンジーがそれに食いついた。「なにを考えてんだよ」
「やつらはラッパッパの情報を欲しがっていた。それとチョウコクがやられたことを合わせて考えると、次に狙われるのはラッパッパかもしれねぇって――な」
「たしかに、充分考えられる」バンジーは頷く。
「忠告しといたほうがいいかな」
「いや……しないほうがいい」
「どうして……」とヲタが疑問を口にしたとき、ウナギとムクチの二人が教室に入ってきた。
「ぅいぃーす」
「……」
「なに朝っぱらから辛気臭せぇ顔して」ウナギがヲタとバンジーの顔を見て言う。
「昨日、チョウコクがやられた」
「なんだって?」ウナギとムクチが目をみはった。「チョウコクをやっちまうって、どれだけ強いんだ? ……って、まさか亜利絵根か……」
「多分な」ヲタは答えた。「朝日かどうかはわからねぇけど」
「ウチらの学校で名の知れた連中をボコりまくって、最後にラッパッパを潰すんじゃねぇかってことを話してた」と、バンジーが付け加えた。
「そんなことしてどうすんだ?」
「さあな」バンジーは肩をすくめる。
「その仮説が正しいならよ」ウナギが厚い唇を尖らせながら割り込んできた。「残りは山椒姉妹……歌舞伎シスターズ、学ランあたりか……あ。金眉会ってのもあったな」
「金眉なんて眼中ねぇだろ、亜利絵根は」ヲタは苦笑して、「だるまにさえ負けたくらいだし」
そのだるまは前田敦子の隣に座り、なにやらおべっかを言っているようだったが、やおらヲタたちチームホルモンのほうへ振り返った。「なんやて、きさまら」
「なんでもねぇよ」
「いま、俺の名前、口にしたやろ」
「なんでもねぇって」
「まあ、ええわ」だるまは不思議なくらい、あっさりと引いた。
――が、それはちがった。
だまるはヲタを哀れむような目つきで見つめると、「それはそうと……おまえら、また、シメられたって聞いたで」
前回は即座に嘘をつき、噂を否定したが、二度目となると、もうしらばっくれることもできないだろう。ヲタはだるまを無言で見つめた。それが返答だった。
「やっぱり噂は本当だったんか」
「チョウコクもやられたそうだ」
「ホンマか?」
「それは知らなかったのか」
「チョウコクまでやられたとなると――」だまるはそこで前田敦子に向き直った。「あつ姐。今日からは休み時間もお供しやす」
前田敦子はこちらに背を向けて、例の介護士資格の本を開いている。だるまの声にも反応しない。
たしかに――ヲタは思う。前田敦子も亜利絵根の標的にされていることは充分考えられる。けれども前田なら大丈夫だろう。前田はおそらく、大島優子やサドと匹敵……いや、それ以上に強いかもしれない。いくらチョウコクが強くなったとはいえ、サドよりは弱いだろう。ならば、前田がそう簡単に負けるわけがない。
そのとき、一時間目を告げるベルが鳴り、ヲタの思考はそこで中断された。
【つづく】
・某テレビドラマのパロディ小説です。パロ嫌いな人は読まないでね。
・いずれ百合な、エロい場面も出てきます。エロ嫌いな人は読まないでね。
・あとから矛盾とか出てきたらこっそり書き直します。
・著者の上戸に格闘技経験はないので、おかしな箇所があったらこっそり教えてください。こっそり書き直します。
ヲタが登校し、教室に入ると同時に、アキチャが飛んできた。
「知ってるか? チョウコクもやられたらしい」
「チョウコクが……? だれに……って、まさか……」
「そう。亜利絵根のやつだ」
「朝日か?」
「いや、まだそこまではわからねぇ。けど、あちこちで噂になってる」アキチャはそこで顔をしかめた。「――うちらがやられたってことも含めてな」
ヲタは返す言葉がなかった。
そのときバンジーが「うぃーす」と言いながら2年C組の教室に入ってきた。
アキチャがバンジーに今の話を繰り返して伝える。ヲタは黙ってそれを見ていた。
アリ女がチョウコクまでターゲットにしてきたことと、ラッパッパの情報を知りたがっていたことを合わせて考えると、その目的がおぼろげに想像できた。
あいつらはマジ女の武闘派集団を壊滅させる気なのではないか。
チョウコクは前田とのタイマンに敗れてから鍛錬を重ね、かなり強くなっているらしい。もうすぐ卒業ということもあり、例の百人斬り達成を急いでいるのだろう。そのチョウコクがやられたのなら、もちろんチームホルモンでは太刀打ちできないし、もしかしたらラッパッパさえも……。
「まさか……」ヲタはつぶやく。
「なんだって?」バンジーがそれに食いついた。「なにを考えてんだよ」
「やつらはラッパッパの情報を欲しがっていた。それとチョウコクがやられたことを合わせて考えると、次に狙われるのはラッパッパかもしれねぇって――な」
「たしかに、充分考えられる」バンジーは頷く。
「忠告しといたほうがいいかな」
「いや……しないほうがいい」
「どうして……」とヲタが疑問を口にしたとき、ウナギとムクチの二人が教室に入ってきた。
「ぅいぃーす」
「……」
「なに朝っぱらから辛気臭せぇ顔して」ウナギがヲタとバンジーの顔を見て言う。
「昨日、チョウコクがやられた」
「なんだって?」ウナギとムクチが目をみはった。「チョウコクをやっちまうって、どれだけ強いんだ? ……って、まさか亜利絵根か……」
「多分な」ヲタは答えた。「朝日かどうかはわからねぇけど」
「ウチらの学校で名の知れた連中をボコりまくって、最後にラッパッパを潰すんじゃねぇかってことを話してた」と、バンジーが付け加えた。
「そんなことしてどうすんだ?」
「さあな」バンジーは肩をすくめる。
「その仮説が正しいならよ」ウナギが厚い唇を尖らせながら割り込んできた。「残りは山椒姉妹……歌舞伎シスターズ、学ランあたりか……あ。金眉会ってのもあったな」
「金眉なんて眼中ねぇだろ、亜利絵根は」ヲタは苦笑して、「だるまにさえ負けたくらいだし」
そのだるまは前田敦子の隣に座り、なにやらおべっかを言っているようだったが、やおらヲタたちチームホルモンのほうへ振り返った。「なんやて、きさまら」
「なんでもねぇよ」
「いま、俺の名前、口にしたやろ」
「なんでもねぇって」
「まあ、ええわ」だるまは不思議なくらい、あっさりと引いた。
――が、それはちがった。
だまるはヲタを哀れむような目つきで見つめると、「それはそうと……おまえら、また、シメられたって聞いたで」
前回は即座に嘘をつき、噂を否定したが、二度目となると、もうしらばっくれることもできないだろう。ヲタはだるまを無言で見つめた。それが返答だった。
「やっぱり噂は本当だったんか」
「チョウコクもやられたそうだ」
「ホンマか?」
「それは知らなかったのか」
「チョウコクまでやられたとなると――」だまるはそこで前田敦子に向き直った。「あつ姐。今日からは休み時間もお供しやす」
前田敦子はこちらに背を向けて、例の介護士資格の本を開いている。だるまの声にも反応しない。
たしかに――ヲタは思う。前田敦子も亜利絵根の標的にされていることは充分考えられる。けれども前田なら大丈夫だろう。前田はおそらく、大島優子やサドと匹敵……いや、それ以上に強いかもしれない。いくらチョウコクが強くなったとはいえ、サドよりは弱いだろう。ならば、前田がそう簡単に負けるわけがない。
そのとき、一時間目を告げるベルが鳴り、ヲタの思考はそこで中断された。
【つづく】
・某テレビドラマのパロディ小説です。パロ嫌いな人は読まないでね。
・いずれ百合な、エロい場面も出てきます。エロ嫌いな人は読まないでね。
・あとから矛盾とか出てきたらこっそり書き直します。
・著者の上戸に格闘技経験はないので、おかしな箇所があったらこっそり教えてください。こっそり書き直します。