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『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48vsアイドリング!!!』 第5回

 03, 2010 20:47
 ■台場から来た少女―2の2■


 横山と外岡はチョウコクの正面から、じわじわと左右に広がっていく。
 チョウコクは迷った。地下道の壁を背にするべきか、今のまま通路を背にするべきか。
 壁を背にすれば、背後からの攻撃は考えなくていい。だが、挟撃されたときに戦えるスペースは狭くなる。
 通路を背にすれば、360度警戒しなくてはいけないが、その分、動きやすい。
 ――どうする?
 そうして考えているあいだにも、二人は動き続けている。
 チョウコクは覚悟を決めた。壁を背にして、不意な方向からの攻撃をかわすほうがいい。
 すばやく壁際に移動したチョウコクの後を、二人が追ってきた。
 チョウコクは背中に壁の冷たさを感じると、両手を前に掲げ、戦闘態勢に入った。
 左に外岡、右に横山……。どちらから片付けるか。二人一緒に攻撃されれば負ける。そのタイミングは何度も練習しているだろう。それならば、こちらが先に動いて先手を取るしかない。
 体格的には横山が外岡を勝っている。とりあえず潰しやすい方から潰すのが鉄則だ。チョウコクは外岡をターゲットに決める。
 チョウコクはやや左に向き、外岡に斜めから正対した。突っ込んでくる外岡に、カウンターの拳を入れるべく、チョウコクは構えた。
 鉄拳の間合いまであと一瞬。チョウコクは右拳を肩の高さから放った。
 外岡はこちらに掴みかかろうと両手を伸ばす。組み技か――チョウコクは判断し、組まれるより早く、外岡の胸に拳を叩き込むつもりだった。
 それは渾身の拳――のはずだった。
 しかし、どこかで横山からの攻撃を意識していたからか、その拳にはいつもの力が込められなかったし、注意力も散漫になっていた。
 まるでこちらの攻撃を見透かしたように、外岡はすっと左に避けた。そして刹那の動きでチョウコクの、がら空きになった左手を掴む。電気が走ったような衝撃と痛みがチョウコクの左腕を襲った。
 「痛(ツ)ッ……」
 捩じ上げられた左腕が宙で妙な動きをしたかと思うと、チョウコクは次の瞬間に、自分の意思と無関係に体を捻らざるをえなかった。そのままの体勢でいたら、腕は肘のところで折られていたかもしれない。それほどの力とスピードだった。喧嘩慣れしていない人間ならそうなっていただろう。
 気が付くと、チョウコクは外岡に背後に回りこまれていた。左腕が背中に回され、肘と手首を完全に押さえ込まれてしまっている。そしてギリギリと締め付けられた。
 目の前には、左脚を高々と上げた横山。チョウコクは思わず、全開となったプリーツスカートの中に視線を移してしまった。たとえ女であっても、これほど大胆にスカートの中を露呈されては意識しなくともそれを見てしまうものだ。その意識の戸惑いが、チョウコクの心に隙を生んだ。そうでなければ、次の一撃は避けられたかもしれない。
 横山の長く美しい左脚が、チョウコクの肩に振り下ろされようとしていた。
 踵落としは極真空手を使う者が得意とする技で、格闘家ではアンディ・フグの決め技でもあった。横山のような身長のある者が使えばそれだけ威力は増す。
 チョウコクを、その衝撃に意識が耐えられるかという恐怖が襲った。
 ――来るっ……。
 チョウコクは体を強張らせる。
 ……が、横山はその脚を落としてはこなかった。真正面にチョウコクを見つめている。
 少しの間が流れ、やがて外岡が口を開いた。「――ルリカ……」
 「やっぱりやめるわ……」横山は脚をゆっくりと下ろしていく。チョウコクの肩を這わせるように。「神はこんな卑怯な戦い、お許しにならない」
 チョウコクは安堵の息を、二人に気づかれないように漏らした。
 外岡の拘束が緩んだ。チョウコクはすかさず離れたが、闘う気は失せていた。フェアに闘おうとしている者に対する敬意だった。
 「ま、ルリカらしいね」外岡が笑った。先ほどまでの戦士の表情ではなく、普通の女子高生のような笑顔だった。
 「あまりにあっさりしすぎだし……」横山が答える。こちらもまた、柔らかな微笑を浮かべている。
 チョウコクは拍子抜けした気分と、助かった安心感と、そして結局自分は負けたのだという敗北感を味わっていた。「――わたしの、負けだ……」
 「いえ、まだ結してない。そのうちあなたとは、また闘う日が来るわ」横山が言った。「そのときは1対1で」
 「わたしは押さえ込まれた」
 「でも1対1なら関節を取れなかったかも……」と外岡。
 たしかに二人を相手にしているという状況が、外岡に易々と腕を取られた原因かもしれない。だが、2対1とか1対1とか、そういう問題ではない。本当の強さとは、そんなこととは関係ない。現に、大島優子は数十人を相手にたった一人で闘い、勝ったのだ。
 「あのままならわたしは腕を折られ、倒れていた……」
 悔しかった。これでは情けをかけられただけ……。
 チョウコクは膝を折り、アスファルトに伏した。
 なにが百人斬りだ。こんなことではラッパッパの四天王を倒すなど、はるかに叶わない……。
 「それじゃあ、またね……」
 その声はもはや遠く、二人のうちどちらが発したものかさえ、チョウコクには判断できなかった。




 【つづく】


 ・某テレビドラマのパロディ小説です。パロ嫌いな人は読まないでね。
 ・いずれ百合な、エロい場面も出てきます。エロ嫌いな人は読まないでね。
 ・あとから矛盾とか出てきたらこっそり書き直します。
 ・著者の上戸に格闘技経験はないので、おかしな箇所があったらこっそり教えてください。こっそり書き直します。

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