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 S・キングの原作を読んだのは、もう20年くらい前になるか。町屋の、いまはなくなった喫茶店で友だちと待ち合わせをしているときに読んだ記憶が残っている。
 キング全般の作品に言えることだけど、この小説自体も、文中に「ダグラス・トランブルの特殊効果みたいに」という文章があって、映像を意識して書かれている。それがこの時代になって、ようやく実現したというわけかな。小説が発表された時代に作られていたら、きっとチャチなものになっていただろう。

 というわけで、けっこう期待をして見に行きました。 以下、ネタバレにつき、文字色を反転します。
 「霧」ってゲームでもCGでけっこうきれいに再現できるもので、且つホラーというジャンルにはぴったりという便利な自然現象なんだけど、これは同時に映画にも言えるんですよね。今回もすべてCGというわけではないけど、かなり異様な雰囲気を出すことに成功しています。
 原作を忠実に映像化する監督であることは『グリーンマイル』で証明済みなんだけど、逆に言えばそれは結局「文章の持つ、想像力を喚起させる力」には敵わないわけで…。『ミスト』でもその傾向は同じ。いや、それでもいいんですけどね。
 ただ、今回は監督もそれを感じていたのか(勝手な想像ですが)、ラストに原作にないオチをつけてある。原作のラストは、世界は破滅しようとしているがどこかに希望はある、という感じで、悪く言えば投げっぱなしのまま。けれども映画は、世界の終わり(絶望)と回復(希望)を同時に見せるという、なかなか気の利いたものになっていた。これは考え込まれていて、ぼくは原作よりもいいと思った。
 ラストにひとつだけ不満を言うならば、主人公がみんなを殺すシーンを直接見せなかったこと。老人、女、子供という「弱者」を撃ち殺すシーンは映画倫理上よくない、という配慮なんだろうけど、それを観客に見せることによって、より深い悲しみと怖さを演出できたと思うんだが…ま、これは反対意見も多いでしょうね。
 演出の話をすると、物語の冒頭の、夜から朝になっていくカットの連続が、なんだかスムーズにいっていないというか、ぎこちない感じがした。なんだかテンポが合ってないんですよ。
 あと、主人公たちがスーパーの中にいる時点でも、カメラが外から撮っているカットがあるのはおかしくない? やはり視点は一致させないとダメだと思う。せっかく閉所感を出そうとしているのだし、この映画では主人公が知らないことは観客も知らなくていいわけだし。
 でも気になったのはそのくらいで、あとはなかなか楽しめる。2時間ちょっとという長さは一切感じさせない。
 懸念していたゴア描写も、ぼくでも耐えられるレベルだった。てゆーか、最近は昔のおれなら絶対見ないようなものまで見ているから、かなり耐性ついただけかも。むしろ、「もっと腕とかちょん切れよ」なんて思ったりもした(笑)。ネットでいろんな感想見ていたら、気持ち悪くて途中退場したという人もいたから、あれはあれでグロいんだろうなぁ。ヤバいな、おれ、そのうちゾンビ映画も普通に見られるようになるのかな? もっとも、ぼくが一番グロく感じたのは、虫に刺された女性の首が大きく膨れ上がっているメイク。あれはすごくリアルっぽくて怖い。
 モンスターたちの造形(CGでもそう言うの?)はなかなかよくて出来ていた。ただ、羽虫は大きな目玉がギョロリとしているはずだったけど、映画版は普通の虫っぽかった。目玉を大きくして、もっと気色悪くしてほしかったです。あと、憲兵の体から出る虫は気色悪くて好き(好きなのか!!!)。
 で、『霧』(原作のタイトル)のモンスターと言えば、だれに聞いても圧倒的インパクトを持つ、最後のアレ。けれども残念なのは、ぼくが好きだった「脚にびっしりとギョロ目の虫が蠢いている」という描写がなかったこと。あそこはもっとゆっくりみせて欲しかったなぁ。この場面は健闘しているものの、原作を超えていなかった。残念。
 と、いろいろ文句も書いてきたけど、今年見た映画の中ではけっこう好きな部類に入る一本でした。

 最後に、映画とは関係ない話。
 上映中、おれの斜め後方に座っていたオバサンらしき人が、しきりにガサガサとビニール袋みたいなものの音を立てていて、おれの怒りゲージはあと一撃食らったら、ぶん殴るかファックする、までいっていた。ああいうがさつなやつはモンスターに喰われればいいのに。あ、いい感じでオチた(?)ので、感想はここまで。

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