■反撃―2■
風が強い。立っているだけで煽られそうだ。
さすがにこの風では、いつものホルモン焼きは作れない。
放課後の屋上でチームホルモンのメンバーたちとたむろしていたヲタは、その風を恨めしく思った。
――やけ食いしたかったなぁ……。
朝日にボコられてからというもの、学校中が浮き足立っているというか落ち着かない。どうやらラッパッパが動き出したという噂も、ついさっき耳にした。いつもは怖い存在だが、共通の敵が現れたときには心強い味方になる。もっとも、「暴力」というものは本質的にそんなものだが。
「なあ、ヲタ」バンジーが尋ねてきた。「次はいつやるんだ?」
「どうするかな……。まだなにも考えてねえ」
「しっかりしてくれよ、まさか、二度もやられて黙ってるわけじゃねぇよな?」
ヲタは返答に窮した。
おれだってあの朝日に仕返ししてやりたい。しかし、どう考えても活路がない。
五人で負けたのだから、また行ったところで結果は目に見えている。ラッパッパ四天王のシブヤが得意とする、相手を逃げ場の無い場所に連れ込んで囲う、という戦い方でもすれば勝てるかもしれないが、朝日と菊池と酒井の三人相手にそんな小手先のやり方が通用するとも思えない。
「まさかビビってんじゃねえだろうな」
「ビビってなんかいねえ」
「だったらなんで……」
「うるせえな。考えてるんだよ」
「考えたら勝てるのかよ」
「だから勝つために考えてるんだ」
「考えたって仕方ねえだろう。おれらみたいなバカの頭じゃ」
「じゃあ、なんの考えもなしにまた行って負ければいいってのか」
「そういうことじゃねえ」
「ヲタ――」アキチャが割り込んできた。「バンジーの言うとおりだ。力任せで行ったほうが俺たちらしくていい」
「そんなことしたって意味ねえよ」
ヲタはいつの間にか立ち上がっていた。アキチャもそうだった。
「まあまあ」ウナギが両手を広げて間に入り、二人を制するポーズをした。「仲間割れしたってしょうがないだろ」
「別にそういうつもりじゃねぇ」バンジーはヲタを顎でしゃくって、吐き捨てるように言った。「こいつ、リーダーのくせにビビりすぎなんだよ」
これにはヲタもカチンときた。「――ンだと、てめえ……」
立ち上がって、バンジーに詰め寄る。バンジーは座ったまま、ヲタを見上げた。「やんのかよ」
「やったろうじゃねえか」
「ちょっと待てってっ」ウナギが身を挺して二人の間に割って入った。「ヲタにはヲタの考えがあるんだろうよ、なあ、ヲタ」
「あるわけねえ」とバンジー。
「そうだ」とアキチャ。
「いいから黙ってろって……。ちょっと、ムクチの話も聞こうじゃねえか」
四人はムクチを見た。
突然みんなの視線を浴びたムクチは、それまで何も聞いていなかったかのように目を丸くした。
そしてみんなの顔を一巡する。
「……」ムクチの口が、少し開いた。
いよいよなにかを言うか、とみんなの空気が期待に変わったときだった。
突然、屋上にチームホルモンのメンバーではない声が聞こえた。
「負け組みの皆さんが鳩首会談ですか。ご苦労さま……」
ヲタはその声の方角を向いた。そこには懐かしい顔があった。「プリクラ……」
プリクラ――2年A組、菊池あやかは背後にナツミ、サキコ、トモミ、マユミ、ハルカを従えていた。
「てめえ……」バンジーが先ほどまでのヲタとの確執などなかったかのように、怒りの矛先をプリクラに向けた。「やっと停学解禁か」
「おかげさまで……」プリクラは笑顔を作った。「一時は戻れないかと思いました。ところで私のいないあいだに、どこかの弱いチームが2年を治めたって聞いたんですが、どのチームか知ってますか?」
「なんだと、てめぇ……」バンジーはもはや走り出すかのような歩調でプリクラに近づいた。
背後の五人がプリクラの前に出ようとするのを、プリクラは手で制した。
バンジーはプリクラの顔に、あと2センチくらいのところまで詰め寄った。
ヲタはバンジーのあとに続くことすらできなかった。プリクラに対する後ろめたさが、ヲタの脚を動かさなかった。
「あいかわらず、凄むのだけは迫力ありますね」バンジーと5センチ差の身長があるプリクラは、やや見下ろすように言った。「だから男ができないんですよ」
バンジーの右手が唸った。プリクラの顔面に拳が叩き込まれた……と思った刹那、プリクラは両手でバンジーの右手を捉え、関節を逆方向にねじった。
バンジーは叫び声を上げ、間接を戻すために体をひねった。体制が崩れた。
プリクラは手を離し、地面に倒れる寸前のバンジーに、拗ねた子供が石を蹴るみたいにちょこんと蹴りを入れた。
まったく痛くない蹴りを入れる余裕に、ヲタは心底いらついた。
「まさか、こんな弱い特攻隊長のいるチームじゃないですよね?」
「ヲタ」アキチャに突つかれ、ヲタはハッとした。「いいのかよ」
いいもなにも、いいわけがない。
プリクラの停学中、弱体化した『純情堕天使』に代わってチーム・ホルモンが2年を統制したことは事実だった。しかしそれは自分たちで意図したわけではなく、たまたまナンバー2の座にいたから推し出されたというだけのことだ。純情堕天使を潰すつもりなどない。
けれども――経緯がどうあれ、今の2年を治めているのは、紛れもなくチーム・ホルモンだ。それは譲れない。一度落とされれば、敗者の烙印が押される。事実、純情堕天使はそうなった。
今のままでいたければ、プリクラに勝つしかない。この場で――。
ヲタはプリクラをにらみつけ、歩き出した。
そして、プリクラまであと3メートルほどの地点で、脱兎のごとくプリクラに飛びかった。
これにはプリクラも少しは焦ったようだった。ヲタは拳の間合いに入ると、右ストレートをプリクラの腹に打ち込んだ。
渾身の一撃のつもりだったが、瞬間、なにかが不足している、と感じた。
そのせいか、プリクラは腰を引き、寸でのタイミンクでパンチを交わした。
しまった――反撃を覚悟して、ヲタは体を強張らせた。
だが、プリクラはヲタの頬に手をやり、軽くつねった。
ぞくっとする、心地良い痛み。
ヲタは打ち消すようにその手を払い、プリクラのセーラーリボンを引っ張り上げた。
「――ンの野郎……」
「久しぶりにお手合わせできて楽しかったです。でも、今日はこのへんにしておきましょうよ。それ以上来るなら、私は我慢できても若い連中が黙ってないですよ」
プリクラの背後には純情堕天使のメンバーが接近していた。
ヲタはこれ以上は、挑発も攻撃も危険だと察し、セーラーリボンから手を離した。
「今日のところは挨拶にうかがっただけですから、『マジ』はやめときましょうよ。それに、弱い連中に勝っても意味ないし」
「ざけんなよ、てめぇ……」肘を押さえながら立ち上がったバンジーが言った。
「そういう言葉使いで相手がビビるとでも思ってます? 人と接するときは丁寧な言葉遣いをしましょうって、誰かに教わりませんでしたか?」
「余裕こいてんじゃねえ」
「やめろ、バンジー」ヲタはバンジーの方に向き直った。
「けどよ……」
「いいから、おれの言うことを聞け」
バンジーは納得いかないといった表情でヲタを見つめ、それからプリクラに向かってこう言った。「こんなところで遊んでねえで、さっさとおうちに帰って、あの男にでも抱かれてろっ」
プリクラは苦笑して、「それじゃあ、御機嫌よう」と去った。
屋上には戸惑うヲタ、怒りに震えるバンジー、見守るしかなかったアキチャとウナギとムクチが残された。
「ちくしょうっ」バンジーは床に転がっていたバケツを思いっきり蹴り上げた。青いプラスチックのバケツは金網にぶつかって、派手に転がった。バケツの中に入っていた水とシケモクが散乱し、濃縮されたニコチンの嫌な臭いが漂った。「負けてばっかりじゃねえかよ」
「ヲタ……」アキチャが言った。「どうしたんだよ。朝日にやられてから、なんかおかしいぞ。さっきのパンチだって、いつものおまえならプリクラに当ててたはずだ」
「たしかに」ウナギが同意する。
「……」ムクチが激しく頷いた。
「あれ以来、自分に自信が持てなくなったんだ……」ヲタは空を見上げた。みんなの顔が見られなかった。「2年を占めてると言ったって、しょせん、この学校の中でしか通用しないんじゃないかってな……」
「んなことはねえっ」バンジーが大声を上げた。
「けど、お前だって勝ってねえじゃねえか。さっきだってプリクラに……」
「あれは、ちょっと油断しただけだ」
「いつもそうだ。そうやって自分をごまかしてるだけじゃねえか」ヲタはバンジーをにらんだ。「――ずっと、今のままじゃいられねぇんだ……」
ヲタは思う――毎日学校に来てダチの顔見てホルモン食って適当にケンカして……。そんな日常は永遠には続かない。もちろん、そんなことはわかっている。わかっているが、終わる日が明日になるまで、おそらく自分たちは本当の意味でそれを理解しているとは言えない。
楽しいあいだは、そんなことを考えたくないからだ。しかし愛すべき日常は、実は簡単に崩れる。
亜利絵根の刺客たちに、ヲタはそう気づかされた。
だからヲタは闘いに意味が欲しかった。
いつもとはちがうヲタの神妙な態度に、チームホルモンのメンバーはそれ以上、話しかけてこなかった。
【つづく】
・某テレビドラマのパロディ小説です。パロ嫌いな人は読まないでね。
・あとから矛盾とか出てきたらこっそり書き直します。
・著者の上戸に格闘技経験はないので、おかしな箇所があったらこっそり教えてください。こっそり書き直します。
風が強い。立っているだけで煽られそうだ。
さすがにこの風では、いつものホルモン焼きは作れない。
放課後の屋上でチームホルモンのメンバーたちとたむろしていたヲタは、その風を恨めしく思った。
――やけ食いしたかったなぁ……。
朝日にボコられてからというもの、学校中が浮き足立っているというか落ち着かない。どうやらラッパッパが動き出したという噂も、ついさっき耳にした。いつもは怖い存在だが、共通の敵が現れたときには心強い味方になる。もっとも、「暴力」というものは本質的にそんなものだが。
「なあ、ヲタ」バンジーが尋ねてきた。「次はいつやるんだ?」
「どうするかな……。まだなにも考えてねえ」
「しっかりしてくれよ、まさか、二度もやられて黙ってるわけじゃねぇよな?」
ヲタは返答に窮した。
おれだってあの朝日に仕返ししてやりたい。しかし、どう考えても活路がない。
五人で負けたのだから、また行ったところで結果は目に見えている。ラッパッパ四天王のシブヤが得意とする、相手を逃げ場の無い場所に連れ込んで囲う、という戦い方でもすれば勝てるかもしれないが、朝日と菊池と酒井の三人相手にそんな小手先のやり方が通用するとも思えない。
「まさかビビってんじゃねえだろうな」
「ビビってなんかいねえ」
「だったらなんで……」
「うるせえな。考えてるんだよ」
「考えたら勝てるのかよ」
「だから勝つために考えてるんだ」
「考えたって仕方ねえだろう。おれらみたいなバカの頭じゃ」
「じゃあ、なんの考えもなしにまた行って負ければいいってのか」
「そういうことじゃねえ」
「ヲタ――」アキチャが割り込んできた。「バンジーの言うとおりだ。力任せで行ったほうが俺たちらしくていい」
「そんなことしたって意味ねえよ」
ヲタはいつの間にか立ち上がっていた。アキチャもそうだった。
「まあまあ」ウナギが両手を広げて間に入り、二人を制するポーズをした。「仲間割れしたってしょうがないだろ」
「別にそういうつもりじゃねぇ」バンジーはヲタを顎でしゃくって、吐き捨てるように言った。「こいつ、リーダーのくせにビビりすぎなんだよ」
これにはヲタもカチンときた。「――ンだと、てめえ……」
立ち上がって、バンジーに詰め寄る。バンジーは座ったまま、ヲタを見上げた。「やんのかよ」
「やったろうじゃねえか」
「ちょっと待てってっ」ウナギが身を挺して二人の間に割って入った。「ヲタにはヲタの考えがあるんだろうよ、なあ、ヲタ」
「あるわけねえ」とバンジー。
「そうだ」とアキチャ。
「いいから黙ってろって……。ちょっと、ムクチの話も聞こうじゃねえか」
四人はムクチを見た。
突然みんなの視線を浴びたムクチは、それまで何も聞いていなかったかのように目を丸くした。
そしてみんなの顔を一巡する。
「……」ムクチの口が、少し開いた。
いよいよなにかを言うか、とみんなの空気が期待に変わったときだった。
突然、屋上にチームホルモンのメンバーではない声が聞こえた。
「負け組みの皆さんが鳩首会談ですか。ご苦労さま……」
ヲタはその声の方角を向いた。そこには懐かしい顔があった。「プリクラ……」
プリクラ――2年A組、菊池あやかは背後にナツミ、サキコ、トモミ、マユミ、ハルカを従えていた。
「てめえ……」バンジーが先ほどまでのヲタとの確執などなかったかのように、怒りの矛先をプリクラに向けた。「やっと停学解禁か」
「おかげさまで……」プリクラは笑顔を作った。「一時は戻れないかと思いました。ところで私のいないあいだに、どこかの弱いチームが2年を治めたって聞いたんですが、どのチームか知ってますか?」
「なんだと、てめぇ……」バンジーはもはや走り出すかのような歩調でプリクラに近づいた。
背後の五人がプリクラの前に出ようとするのを、プリクラは手で制した。
バンジーはプリクラの顔に、あと2センチくらいのところまで詰め寄った。
ヲタはバンジーのあとに続くことすらできなかった。プリクラに対する後ろめたさが、ヲタの脚を動かさなかった。
「あいかわらず、凄むのだけは迫力ありますね」バンジーと5センチ差の身長があるプリクラは、やや見下ろすように言った。「だから男ができないんですよ」
バンジーの右手が唸った。プリクラの顔面に拳が叩き込まれた……と思った刹那、プリクラは両手でバンジーの右手を捉え、関節を逆方向にねじった。
バンジーは叫び声を上げ、間接を戻すために体をひねった。体制が崩れた。
プリクラは手を離し、地面に倒れる寸前のバンジーに、拗ねた子供が石を蹴るみたいにちょこんと蹴りを入れた。
まったく痛くない蹴りを入れる余裕に、ヲタは心底いらついた。
「まさか、こんな弱い特攻隊長のいるチームじゃないですよね?」
「ヲタ」アキチャに突つかれ、ヲタはハッとした。「いいのかよ」
いいもなにも、いいわけがない。
プリクラの停学中、弱体化した『純情堕天使』に代わってチーム・ホルモンが2年を統制したことは事実だった。しかしそれは自分たちで意図したわけではなく、たまたまナンバー2の座にいたから推し出されたというだけのことだ。純情堕天使を潰すつもりなどない。
けれども――経緯がどうあれ、今の2年を治めているのは、紛れもなくチーム・ホルモンだ。それは譲れない。一度落とされれば、敗者の烙印が押される。事実、純情堕天使はそうなった。
今のままでいたければ、プリクラに勝つしかない。この場で――。
ヲタはプリクラをにらみつけ、歩き出した。
そして、プリクラまであと3メートルほどの地点で、脱兎のごとくプリクラに飛びかった。
これにはプリクラも少しは焦ったようだった。ヲタは拳の間合いに入ると、右ストレートをプリクラの腹に打ち込んだ。
渾身の一撃のつもりだったが、瞬間、なにかが不足している、と感じた。
そのせいか、プリクラは腰を引き、寸でのタイミンクでパンチを交わした。
しまった――反撃を覚悟して、ヲタは体を強張らせた。
だが、プリクラはヲタの頬に手をやり、軽くつねった。
ぞくっとする、心地良い痛み。
ヲタは打ち消すようにその手を払い、プリクラのセーラーリボンを引っ張り上げた。
「――ンの野郎……」
「久しぶりにお手合わせできて楽しかったです。でも、今日はこのへんにしておきましょうよ。それ以上来るなら、私は我慢できても若い連中が黙ってないですよ」
プリクラの背後には純情堕天使のメンバーが接近していた。
ヲタはこれ以上は、挑発も攻撃も危険だと察し、セーラーリボンから手を離した。
「今日のところは挨拶にうかがっただけですから、『マジ』はやめときましょうよ。それに、弱い連中に勝っても意味ないし」
「ざけんなよ、てめぇ……」肘を押さえながら立ち上がったバンジーが言った。
「そういう言葉使いで相手がビビるとでも思ってます? 人と接するときは丁寧な言葉遣いをしましょうって、誰かに教わりませんでしたか?」
「余裕こいてんじゃねえ」
「やめろ、バンジー」ヲタはバンジーの方に向き直った。
「けどよ……」
「いいから、おれの言うことを聞け」
バンジーは納得いかないといった表情でヲタを見つめ、それからプリクラに向かってこう言った。「こんなところで遊んでねえで、さっさとおうちに帰って、あの男にでも抱かれてろっ」
プリクラは苦笑して、「それじゃあ、御機嫌よう」と去った。
屋上には戸惑うヲタ、怒りに震えるバンジー、見守るしかなかったアキチャとウナギとムクチが残された。
「ちくしょうっ」バンジーは床に転がっていたバケツを思いっきり蹴り上げた。青いプラスチックのバケツは金網にぶつかって、派手に転がった。バケツの中に入っていた水とシケモクが散乱し、濃縮されたニコチンの嫌な臭いが漂った。「負けてばっかりじゃねえかよ」
「ヲタ……」アキチャが言った。「どうしたんだよ。朝日にやられてから、なんかおかしいぞ。さっきのパンチだって、いつものおまえならプリクラに当ててたはずだ」
「たしかに」ウナギが同意する。
「……」ムクチが激しく頷いた。
「あれ以来、自分に自信が持てなくなったんだ……」ヲタは空を見上げた。みんなの顔が見られなかった。「2年を占めてると言ったって、しょせん、この学校の中でしか通用しないんじゃないかってな……」
「んなことはねえっ」バンジーが大声を上げた。
「けど、お前だって勝ってねえじゃねえか。さっきだってプリクラに……」
「あれは、ちょっと油断しただけだ」
「いつもそうだ。そうやって自分をごまかしてるだけじゃねえか」ヲタはバンジーをにらんだ。「――ずっと、今のままじゃいられねぇんだ……」
ヲタは思う――毎日学校に来てダチの顔見てホルモン食って適当にケンカして……。そんな日常は永遠には続かない。もちろん、そんなことはわかっている。わかっているが、終わる日が明日になるまで、おそらく自分たちは本当の意味でそれを理解しているとは言えない。
楽しいあいだは、そんなことを考えたくないからだ。しかし愛すべき日常は、実は簡単に崩れる。
亜利絵根の刺客たちに、ヲタはそう気づかされた。
だからヲタは闘いに意味が欲しかった。
いつもとはちがうヲタの神妙な態度に、チームホルモンのメンバーはそれ以上、話しかけてこなかった。
【つづく】
・某テレビドラマのパロディ小説です。パロ嫌いな人は読まないでね。
・あとから矛盾とか出てきたらこっそり書き直します。
・著者の上戸に格闘技経験はないので、おかしな箇所があったらこっそり教えてください。こっそり書き直します。