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【ネタバレ有】『犯人に告ぐ』を読んだ。

 23, 2007 07:40


 まあまあ、との評判を聞いていたので読んでみたんだが…図書館で借りていて助かったよ。薦めてくれた人には申し訳ないけど、買った本だったら即効ブックオフ行きでした。
 以下、ネタバレ。

 劇場型犯罪と劇場型捜査の対決ってんで、犯人がマスコミをいいように翻弄したり、警察がマスコミを使った仕掛けをしたりするんだろうなぁ、と思っていたら全然やってない。そもそも、なんでこんな捜査方法をとったのかの説得力がまったくないし…。
 まあ警察もちょっとは罠を仕掛けたりしてるんだけど、基本的にはただ手紙をくれって言うだけ。一番情けないのは犯人を割り出すきっかけとなった手紙が偶然発見されたとこ…ダメじゃん。
 要はこれ、犯人がミスらなかったら解決できなかったってことだよね? 警察の、マスコミを使った捜査方法ならではの追い詰め方をしていくんだとばっかり思っていたんですが…。
 そもそも、犯人は何で手紙を出したのか? それがいくら考えてもわからない。おれだったら絶対出さないよ。そこがこの物語のキーポイントになっているのに、犯人像もあやふやなまま物語は終わってしまうから、結局「自己顕示欲を刺激された」程度の、ありきたりなことなのかな? と、補完するしかない。何度も言うけどホントに頭のいい奴なら絶対手紙なんて出さないですよ。
 それから、こういう知力の戦いみたいな物語って、犯人のキャラクターがすごく大切なはずで、決定的な「証拠」の、色の言い方の違いについても、おれは元印刷関係の仕事をしていたから、通常と違う色の名前を常に使っている職業の人間なのかと考えたりした。たとえば印刷関係者は「赤」を「マゼンタ」って言うんですよ。少なくとも、おれの職場の人間はみんなそうだった。全然関係なかったけど。
 あと警察内部のゴタゴタの話は最近の流行としてはいいとしても、情報をリークするエピソードってなくても全然ストーリーに支障をきたさないでしょ。いらないじゃん、あれ。ああいう奴がうろちょろすると、メインのストーリーに集中できなくて、うざったいんだよね・・・。
 主人公にまったく感情移入できなかったのも…。最初の誘拐事件のときの、誘拐された子供の家族への対応を見ていて、警察には警察内部の事情があるんだろうが、家族にはそんなの関係ねぇよ、と反感を覚えてしまった。弱者を徹底的に叩くマスコミには同意できないけど、子供が殺されてしまったことの全責任はこいつにある。そんな奴が劇場型捜査なんてでききるわけがないですよ。事実、「偶然」で解決したし。こいつの家族に警察の護衛がついていないのもおかしいよ。バッドマンは女子アナの子供を誘拐するとか言ってたんだから、巻島が顔と実名をマスコミに出してる状況では警察が家族を守ってやらなきゃダメでしょう。事件が収拾つくまでどこかに匿うとか(警察は短期戦にするつもりだったわけだし)。
 とにかくジェフリー・ディヴァー的な、警察対連続児童殺害犯の知力戦と思って読んだら、予想以上の肩透かしでした。リンカーン・ライムだったらこの事件をもっとうまく指揮できたのかな、とか考えてしまった。〔ワシ〕がだれなのか、結局よくわからんかったのも…。
 警察小説が好きなら。【1点】

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