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円谷買収に思う。

 28, 2007 05:41
アサヒコムより、以下転載。

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手作り特撮、どこへ 経営難の円谷プロ、CGに比重
2007年11月25日12時53分

 怪獣が倒れ、ミニチュアのビルが崩れる――。ウルトラマンシリーズおなじみのシーンが、今後は見られなくなるかも知れない。作品を手がける円谷プロダクションが経営難から映像制作会社の傘下に入り、親会社は制作費が膨らむミニチュア撮影からの撤退を示唆したからだ。国民的ヒーロー作品の特徴だった「手作り」特撮の行方はいかに。

●親会社「制作費かさむ」撤退指示

 円谷プロは苦しんでいました――。10月末、こんな全面広告が日経新聞に掲載された。りりしいウルトラマンの横には謝罪や経緯を説明する文章が並び、同社がグループ会社になったことを伝えた。「ファンの皆さまにはほんとうにご心配ばかりかけてきました。訴訟ごと、スキャンダル、そして重い資金難など『世界の円谷』として恥ずかしいことでした」

 同社を引き受けたのはCM制作大手のティー・ワイ・オー(TYO)。「映像コンテンツ集団」を掲げ、映画、CG、WEB、ゲームソフトなど約40のグループ会社をもつ。ジャスダックにも上場している。

 先月17日の記者説明会で、TYOの吉田博昭社長は「円谷プロは同族経営が続き、共同体と企業が混同されていた」と指摘。制作費がかさんだ要因に、円谷作品の特徴であるミニチュアを挙げ、こう続けた。

 「リアルでないし、『チャチさがいい』と言うのはオタク。あまりにも少数の異常な愛着にこだわってはいけない」「今後は安価に短時間で仕上がるCGなどをフル動員してかっこいいものを作りたい」

 この発言に反応したのは、特撮ファンたち。インターネットの掲示板などには「賛同できない」「寂しい」の書き込みが相次ぎ、円谷プロにも古くから特撮にかかわってきたスタッフから問い合わせが寄せられているという。

 円谷プロは、「ゴジラ」などを手がけ「特撮の神様」と呼ばれた円谷英二によって48年に設立された「円谷特殊技術研究所」が前身。「ウルトラマン」(66年)をはじめ、ミニチュアのセットを駆使し、巨大ヒーローと怪獣が戦う作品は、日本の特撮のシンボル的存在でもある。だが、「いい作品のためには金を惜しまない」という姿勢に同族経営の弊害が加わり、「働いていない人が多く、1本作るたびに首が絞められる経営」(吉田社長)だったという。

 円谷プロの大岡新一・副社長によれば「コストの問題から、制作の基軸はすでにCGになっている」という。

 同社のCG合成の歴史は「ウルトラマンティガ」(96年)に始まる。当初は怪獣の変形などに使う程度だった。が、「ウルトラマンネクサス」(04年)でビル街などのミニチュアを一気に減らしCGに切り替えたところ、「シリーズの世界観と違う」と不評を買い、次の「ウルトラマンマックス」(05年)でいったん原点へと戻る。

 しかし、ミニチュアは手作りだけに制作費がかさむ上、保管料もかかる。現在放送中の「ULTRASEVEN X」(TBS系)では、実写とCG中心になり、特撮と実写の2班体制だった撮影チームも統一し、経費を半減させた。

 大岡副社長は「ミニチュアを捨てたわけではないが、コストを度外視してまでこだわることはできない」と語る。

 もっとも映像制作の世界でミニチュア撮影は時代遅れになったわけではない。

 「ミニチュアの情報量は多い。窓の格子など建物のディテールはCGより優れている部分もある」。劇場版ウルトラマンなどでミニチュア製作を手がけた造形美術工房「マーブリング・ファイン・アーツ」の岩崎憲彦社長は強調する。

 怪獣が登場するような特撮は減ったが、通常映画で、景色などのCGに合成する素材としてミニチュアの需要が国内外で多くあるという。上映中の「ALWAYS 続・三丁目の夕日」でも街並みなどに使われている。

 『円谷英二の映像世界』の編者で、特撮映像研究家の竹内博さんも言う。

 「英二さんは昭和30年代に『電子技術と映画、テレビの融合の時代が来る』とCGの到来を予言していた。ミニチュアか、CGかの議論ではなく、共存を図っていくのが創業者の理念にかなうのでは」

 大岡副社長も経営に余裕ができれば演出に応じて効果的に使っていきたい考えだ。長く特撮カメラマンを務めた経験から「伝承芸の域だけにいったん途絶えれば復活は難しい」との危機感があるからだ。

●新作ではミニチュア使わず

 円谷プロにとっては、お家芸の継続のためにも、経営再建とファン層の拡大が急務。来月開局する衛星放送局BS11で始まる新番組「ウルトラギャラクシー大怪獣バトル」(土曜夜7時~)に、関係者は大きな期待を寄せる。

 ウルトラマンシリーズに登場した怪獣たちが戦いを繰り広げる物語。ミニチュアはほとんど使わずロケ撮影もしない。徹底して制作コストを下げる一方、放送と同時にインターネットや携帯電話に番組を配信するほか、デジタルカードを使ったゲーム機と連動させ怪獣ブーム再燃を狙う。

 森島恒行新社長は「TYOの時代の先端をいくセンスも採り入れながら、09年には新たなウルトラマンシリーズや新しいキャラクターを誕生させたい」と意気込む。
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http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200711250063.html

 このあいだ着ぐるみゴジラにこだわる人たちの話を書いたけど、もうそういう時代ではないということを改めて痛感する。
 てゆーか、今回の場合はミニチュアによる製作費云々というよりも、これまでの円谷の体質がこういう事態を招いたんじゃねぇの? と思う。
 そもそも、作品がつまらなすぎる。
 『ULTRASEVEN X』のダメっぷりもそうだし、土曜の夕方にやっていたウルトラマンシリーズも高い評価をしているのは一部の特撮マニアだけ。そういうのじゃダメなんだ、と、ぼくはずっと思ってた。このあいだの『ウルトラマンマックス』は懐古趣味だけで作られていて、ぼくにはおぞましいとしか思えなかった。あれでどうやって新しいファンを開拓していくんだよ。あんなものを評価しているから、こんな事態になったとも言えるのではないか(特に『ウルトラマン80』が出たときの回は評判がよかったようだが、ああいうものを見て感動している人間が特撮を滅ぼすのですよ)。
 また、円谷はなにか不都合があるとすぐに「なかったこと」にするというお家芸を持っている。古くは『ウルトラセブン』12話や『怪奇大作戦』の狂気人間とか、『ウルトラマンコスモス』の辻希美のダンナ事件とか。同族経営ってのは問題を隠蔽したりする体質になりがちなのだ。それはぼくの勤めている会社がそうだったから骨身に沁みてよくわかる。で、うちの会社も円谷同様、買収されましたよ(笑)。
 あくまで外からの無責任な意見だけど、ミニチュアの製作費云々なんてのは、瑣末な問題ではないのかって感じがする。要は、面白い作品を作っているかどうかなのだ。
 円谷はいまだに初代ウルトラマンとセブンで商売しているわけで、その意味合いというものをちゃんとわかっているはずなのに、なぜ『ULTRASEVEN X』なんてどうしようもないものを作ってしまうのか。いま、この時代に、『ブレードランナー』をパクった世界観で『ウルトラセブン』でなければいけない理由がまったく見えてこない。いいもので長く商売をするというのは、『ULTRASEVEN X』を作ることではないだろう。
 クリエイターにあれこれ口出しせず、もっと自由にやらせて作品を作らせればいいものが出来る。すべてがいいものになるとは限らないが、その中で1本でもモノになればそれで何十年も商売ができるのだ。ミニチュア製作費なんて簡単にペイできるだろう。
 ミニチュアがいい、という意見は、ゴジラは着ぐるみでないとダメ、という意見と同じだ。ミニチュアでしか撮れないものもあるだろうから、そういうところではミニチュアを使えばいい。けれども、いまは絶対にCGのほうがすごい映像を作れるのだ。『続・三丁目の夕日』のオープニングを見ればミニチュアにこだわりすぎるのは弊害以外のなにものでもない、とわかる。ゴジラの尻尾に吹き飛ばされる家屋の壊れ方はミニチュアでやったら安っぽくて浮いてしまうし、破片の飛び散り方にスケール感が出ない。
 前から思っているのだが、CGを頑なに拒否する人たちって、「CGは簡単」だと思っているらしい。それは大きな間違いで、CG撮影にもミニチュア撮影同様に難しい点が沢山あるし、こだわって作れば膨大な手間がかかる。
 一番大切なのは、完成したときにどれだけすごい映像を見せられるのか、ということであって、その手法ではない。昔はCGがなかったから使わなかっただけで、これはぼくの想像でしかないけど、いま円谷英二が生きていたらバンバンCGを使っていたと思うよ。

 なんにしろ、円谷は「終わっていた」会社だと思うので、生き残れただけでも感謝しないといけないのでは? これから先、特撮のことをなんにも知らない連中があれこれ言ってくると思うが、そういうものに負けずに現場は意地を見せ、良いものを作ってほしい。良いものってのは、特撮ファンにだけ訴えるのではなく、それ以外の人が見ても感嘆するような作品だ。円谷とTYOの連中は、『続・三丁目の夕日』のオープニングを100回見て、これからの映像とはなんたるかを考えてほしい。

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