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山梨まったり記-13

 29, 2008 14:40
 レストランで食事をしたあと、ぼくらはこの公園に来たもうひとつの目的地へ向けて出発しました。フルーツ公園自体に来ることが大きな目的でもあったわけですが、ぼくはこの公園内のとある施設が見たかったのです。それは横溝正史館でした。
 横溝正史はミステリに詳しくない人でもご存知でしょう。いや、ミステリというよりは探偵小説といったほうがしっくりきますね、ともかくその探偵小説の、日本の大家の一人です。ぼくも長編はほとんど読んでいて、中でも『獄門島』が一番好きです(平凡すぎ…)。
 横溝が生前に住んでいた書斎を移築したものがある、とガイドブックで見つけたぼくは夏希さんに「ここに行きたいんですが」とお願いしてありました。夏希さんは探偵小説はまったく読まないので申し訳ない気持ちがありましたが、せっかく横溝関連の施設があるのに素通りすることは横溝のプチファンとしてはできませんでした。そこで無理を言い、夏希さんにも付いてきてもらったのです。
 ところが横溝館はレストランよりもさらに山の上にあるようで、そこに行くのにはけっこうな急斜面を登っていかなくてはいけません。食後で満腹になった身体には、これはけっこうキツいものです。階段脇にはいろいろな花が咲いていましたが、ぼくにはそれを愉しむ余裕がなく、ただひたすらに上を目指しました。
 しかし、まだ横溝館は見えてきません。しかも山の上にあるホテルまで来ると、今度はその建物のおかげで道が大きく回りこんでいます。直線的に斜面を登るのも辛いですが、ぐるりと回らされるのも辛い。こんなことなら、もっと高い場所の駐車場に停めればよかったと後悔しましたが、いまや手遅れ。このまま登っていくしかありません。
 ようやく道が大きく開け、そこにはみやげ物やバーベキューが出来るスペースや、足湯に浸かれる場所がありました。そして横溝館も、その先にあるようです。
 ぼくはかなり汗をかいていて、すでにTシャツ一枚でも暑いくらい。もっとも、夏希さんは横溝になんの興味もないのにこれだけの道のりを登らされたわけで、きっと「上戸、いつか殺す」と思っていたにちがいありません。
 ぼくらはこの公園の規模を完全に侮っていました。笛吹川フルーツ公園、恐るべし!!!
 ようやく到着した横溝館は、本当に小さな書斎で、興味がなければものの2分で見終わってしまうほどでした。けれども、ぼくにとっては「横溝がかつていた空間」として興味津々。横溝の特集をした雑誌を見たり、手書きの原稿を見たりと、一人で来たなら一時間はいたでしょう。
 横溝はけっこう悪筆で、なにが書いてあるかわからなかったり、原稿用紙の升目を無視していたりで、編集者泣かせだったかもしれません。いまの作家はほとんどワープロを使っているでしょうし、現行の受け渡しもメールに添付したりできるのですから、編集の手間は大分軽減されているでしょう。ちなみに、ぼくは原稿はウインドウズのメモ帳で書き、メールに添付して渡しています。
 と、そんなことを考えつつ見ていると、説明員の女性がやってきて、いろいろと話しかけてきました。一人で来たのならコアな話もしたいところですが(といっても、ぼくなんて全然マニアじゃないですが)、夏希さんを退屈させてはいけないため、ぼくは女性の話にはあんまりのっていない感じを出してしまいました。せっかく話しかけてくれたのにごめんなさい。でも、今度NHKで横溝特集をやる、しかもそれがこの横溝館で収録する、という話を聞きました。なんでも角川・覚醒剤・春樹が来るそうです。覚えてたら見てみます。
 というわけで、10分ほどの見学でしたが、ぼくとしては目的を達成できてとても満足でした。

 つづく

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